大麦やカラスムギに含まれている水溶性の β-グルカンは、日本国内に広まるメタボリックシンドロームによるコレステロールに対する懸念増大を鎮めるほどの効果があると言われている。
BMI値が24以上の30歳から70歳の100人の男女を無作為に、毎日、米ともち麦食を摂取するテストグループと、米と β-グルカンを含まない大麦を摂取するプラセボグループに分けて12週間調査をした。
結果として、両グループともに体重とBMI値が減少したが、テストグループにおける減少値ははるかに大きかった。胴回りと内蔵脂肪については両グループともにかなりの減少が見られた。
カロリー 低減
“内臓脂肪面積が100平方cmの被験者についてのサブグループ分析によると、テストグループではプラセボグループに比べてVFA (内臓脂肪面積) のはるかに著しい減少が見られた。”
両グループの定期的な大麦摂食とは別に、研究はVFAの減少は総カロリーと炭水化物の摂取が減ったことに起因しているのではと示唆しているが、テストグループにおける大きなVFAの減少は食事中の高 β-グルカンの存在によるものとしている。
また、β-グルカン高含有食は腸内の粘度を上げて胃内容排出し、消化吸収を遅らせ (低インシュリン・低血糖反応に関わる)、LDLコレステロールを減少させる働きがあるとしている。
体重管理
後者の結果は、 β-グルカン摂取による小腸内の粘度低下と引き続き起こる胆汁と中性ステロール排出に大きく関係している。
この研究は β-グルカン高含有大麦を配合した米主体との食事を定期的に摂ることは、体重管理や減量に役立つと示唆している。
また、大麦摂取による内臓脂肪低減と腸管ホルモン上昇との関係についてはさらなる解明が必要だとしている。
出典:Nutrition
https://doi.org/10.1016/j.nut.2017.05.002
“Effects of high beta-glucan barley on visceral fat obesity in Japanese subjects: a randomized double blind study”
(無作為二重盲検法による日本人の内臓脂肪型肥満に対する高ベータグルカン含有大麦の効果)
著者:青江 誠一郎、一ノ瀬 靖則、他
キーワード:大麦、β-グルカン、日本、内臓脂肪