より高いビタミンDレベルは「天井効果」の影響を受けるが、より低いがんのリスクと関連する:日本のコホート研究

By Cheryl Tay

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より高いビタミンDレベルは「天井効果」の影響を受けるが、より低いがんのリスクと関連する:日本のコホート研究
より高いビタミンD濃度は、総発癌リスクを低下させることにつながる可能性があると日本でのコホート研究が示唆している。

ビタミンDの骨代謝に果たす役割は十分に研究されているが、最近の研究により、がんを含む慢性疾患の予防にも役立つことが判明している。 

インビトロ研究では、ビタミンDが、アポトーシス、血管形成および炎症に関与する多重シグナル伝達の調節のために、悪性細胞に分化促進および抗増殖効果を有することを示した。実験動物モデルでは、ビタミンD自体またはその類似体によるビタミンD内分泌軸の活性化は、乳癌、結腸がん、前立腺がんおよび他の組織の腫瘍発生および進行を制限することが示されており、ビタミンDは発癌における化学的予防の役割を有していることを意味している。

具体的かつ全体的な焦点

日本国立がんセンターと滋賀医科大学の研究者らは、診断前血中ビタミンD濃度と全身および部位特異性がんのリスクとの関係を調べた。

研究者らは、全国の9つの保健所を含む日本公衆衛生センターベースの多目的コホート研究の範囲内でコホート内症例対照研究を実施した。

合計3,301人のがん患者と無作為に選択されたサブコホート参加者4,044人がこの研究に参加した。 25-ヒドロキシビタミンDの血漿中濃度を測定し、サブコホートをビタミンDの性別および季節別特異分布に基づいて4等分位に分けた。

研究者らは、その後、ビタミンD濃度が全がんのリスクと反比例することを観察したが、部位特異的ながんの結果は、ビタミンDレベルと肝臓癌リスクとの間に逆相関を示した。

さらに、感度分析は、全がん症例から特定部位のガン症例を交互に省いても「全体のハザード比を実質的に変化させなかった」ことを見出した。

これはビタミンDのレベルが高いほど、がんのリスクが低く、ビタミンDが多くの部位でがんを予防できるという仮説を支持していることを示している。

天井効果

血中ビタミンDの濃度が高くなると、二次がんのリスクが低くなるという所見にも拘らず、研究者らの結論は「やはり、より高い血中ビタミンD濃度と関連するより低いリスクには天井効果があるように思われる、 至適25ヒドロキシビタミンD濃度を維持することはがんの予防に大事なことであるが、濃度がこの至適レベルを超えるとそれ以上の効果はないようだ」と結論付けた。

「今後の研究で、用量反応パターンとがん予防の最適濃度を明らかにする必要がある。」

 

出典:The British Medical Journal

http://dx.doi.org/10.1136/bmj.k671

"Plasma 25-hydroxyvitamin D concentration and subsequent risk of total and site specific cancers in Japanese population: large case-cohort study within Japan Public Health Center-based Prospective Study cohort"

「日本人集団における血漿25-ヒドロキシビタミンD濃度とその後の全部および部位特異的がんのリスク:日本公衆衛生センターベースの多目的コホート研究での大規模症例コホート研究」

著者:Sanjeev Budhathok等

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