動物実験とヒト臨床試験の双方で抹茶、粉茶がストレス軽減特性を持っていることが報告されているが、菓子に加えられた抹茶の影響は不明である。
静岡県立大学の研究者は、被験者によって消摂されたクッキー中の抹茶のストレス軽減効果を評価するために二重盲検RCTを実施した。
抹茶マッチング
健康な薬学部5年生の中から23〜24歳の健康な学生36人(男性18人、女性18人)が集められた。
試験期間中、参加者(非喫煙者で薬を常用しておらず、急性または慢性疾患を患っていない)は、コーヒー、緑茶、紅茶、炭酸飲料のようなテアニンまたはカフェインが豊富な飲料やカフェインが豊富なチョコレートまたはキャンディーを摂らないように指示を受けた。
被験者が望むときはいつでも水と麦茶を飲むことはできたが、夜のアルコール飲酒は厳しく禁じられた。
被験者は無作為に2つのグループに分けられた:19人はテスト抹茶群、17人はプラセボ抹茶群。 各参加者は1日に3枚のクッキー(計4.5gの抹茶を含む)を摂食したが、テスト用またはプラセボ用抹茶を摂食しているかどうかはわからないようになっていた。
試験期間は15日間で、被験者が学外の病院または薬局での実務実習に配属される7日前から開始した。
被験者は体調、主観的ストレス、そして達成感に関するフィードバックを含む調査票を1日の終わりに書き込むよう指示を受けた。
ストレスと抑制
研究者は、通常の7日間の大学生活と薬局での実務実習プログラムの最初の8日間を分析し、実習開始前と8日間の実習中に於ける不安状態を調べた。
次いでストレスマーカーである唾液α-アミラーゼ活性がプラセボ群よりもテスト抹茶群で有意に低いことが観察された。
これは、茶成分のカフェインおよびエピガロカテキンガレート(EGCG)対テアニンおよびアルギニン(CE/TA)比が「ストレス抑制のための重要な指標」であることを示していた。
さらに、2以下のCE/TA比を有する抹茶は、菓子の形態で摂食されたときでさえ、ストレス低減効果を示し、このことは緑茶を飲まない人々にとって有益であり得ることを意味していた。
有意にストレスを抑制するために2以下のCE/TA比が必要である理由は明らかではなかったが、「テアニンはカフェインの興奮作用を抑制することが報告されており、さらに、アルギニンは一酸化窒素の合成を通じて中枢神経系の重要な調節因子であると考えられている」と研究者らは記している。
「菓子製品中の抹茶のCE/TAモル比が2以下であれば、抹茶のストレス軽減効果はカフェインとEGCGによって妨げられることはない。」
「ストレスを軽減する効果がある抹茶は、テアニンとアルギニンの2倍のモル量よりも少ないカフェインとEGCGを含んでいる。」と結論づけられた。
「抹茶が菓子製品に含まれている場合でも、ストレスを軽減する効果が観察された。菓子製品におけるCE/TAモル比が低い抹茶の毎日の摂取は、緑茶を飲まない人々に有益であり、ストレスの蓄積を防ぐためにシンプルで実用的な方法として役立つ。」
出典:Heliyon
https://doi.org/10.1016/j.heliyon.2019.e01653
「抹茶を含むクッキーのストレス軽減効果:テアニン、アルギニン、カフェインおよびエピガロカテキンガレートの必須比率」
著者:Keiko Unno,等