脳ホップ:認知機能ベネフィットのため、熟成ホップ由来苦味酸を含む製品開発をするキリン
ホップはビールの原料として1,000年以上使用されており、睡眠や骨密度低下の改善など、多くの健康上のベネフィットが知られている。
キリン・ホールディングスと電通は、熟成ホップエキスの健康に対する新しい科学的エビデンスを活用するため、合弁会社 INHOP株式会社を設立した。
INHOPの事業内容は、熟成ホップエキスを含む食品や飲料製品の製造、販売、ブランディングとなっている。
現在のところ、ノンアルコールビール カラダFREEが、熟成ホップエキスを含む唯一の製品である。
キリン・ホールディングスのコーポレート・コミュニケーションのAtaka Takashima氏によると「カラダFREEの熟成ホップ由来苦味酸の機能は、認知機能障害ではなく、脂肪を減らすことです」との事。
認知症の影響
認知症と認知機能障害は、特に人口が急速に高齢化している日本の主要な社会問題となっている。
厚生労働省は、認知症患者数は2023年の430万人から2025年までに730万人に増加すると予想している。
国の社会的負担も、2014年の14.5兆円から2060年には24兆円に増加すると予想されている。
認知症の発症後の効果的な治療方法は不十分であるため、ライフスタイル、特に食事が注目されている。
キリンの最新の研究で、熟成ホップ由来苦味酸が認知機能に有益な効果をもたらす、特に記憶想起を改善する可能性があることがわかった。 同社は、人間におけるこの関係を研究した最初の企業であると捉えている。
キリンは以前、東京大学および神戸大学と共同研究を行い、熟成ホップ由来苦味酸には、マウスモデルにおける認知機能の改善にベネフィットがあることを解明していた。
認知研究
同社は、45歳から64歳までの60人の被験者を対象に、二重盲検ランダム化比較試験を実施した。
被験者は、12週間、熟成ホップ摂取群またはプラセボ摂取群に無作為に割り付けられ、試験の0、6、および12週目に神経心理テストを用いて認知機能について評価され、記憶想起を評価するための言語流暢性検査と、物忘れ尺度を評価するためのアンケートである日常記憶チェックリストによってテストされた。
これによりプラセボ摂取群と比較して6周目から、熟成ホップ摂取群の記憶想起が有意に改善したことが見出された(p <0.05)。
また、アンケートでも熟成ホップ摂取群の方がプラセボ摂取群よりも優れた成績を示し、より主観的な物忘れスコアを記録した。
主観的な物忘れは、ヒトが自分自身を忘れっぽいと考えるときで、以前の研究では、生活の質の低下と関連していることがわかっている。
結果は、熟成ホップ由来苦味酸が健康な中年および高齢者の認知機能を潜在的に改善する可能性があることを示唆していた。
今後の展開
結果に基づいて、キリンは将来、熟成ホップ由来苦味酸を含む製品の開発を通じて認知症の予防と認知機能の改善に貢献したいと考えている。