認知症予防調味料? 加齢による認知機能低下にMSGを提案

By Guan Yu Lim

- Last updated on GMT

認知症予防調味料? 加齢による認知機能低下にMSGを提案

Related tags Japan

食品調味料大手、味の素は認知症に対処する候補として、グルタミン酸ナトリウム (MSG) などのアミノ酸を提案しており、認知症の改善に役立つ新しい調味料製品の開発に取り組んでいる。

厚生労働省研究班の調査によると、認知症人口は2012年の462万人から2025年には730万人に増加し、65歳以上の人口の5人に1人がいずれは認知症になると推定されている。

弊紙は以前、味の素が今後10年間の加齢に伴う機能低下​などの世界的な健康問題に対処する食品ソリューションに焦点を当てていくことを報告している。

味の素のグローバルコミュニケーション担当シニアマネージャー、Daisuke Nakamiya氏はNutraIngredients-Asia​誌とFoodNavigator-Asia​誌に、同社は現在、大学でアミノ酸の潜在的な利点について委託研究を実施しており、地元の病院や政府と協力していると語った。

European Journal of Clinical Nutrition​誌に掲載された研究は、鳥取大学と味の素イノベーション研究所の研究者が、認知症患者におけるMSGの潜在的利点を研究したものであった。

この研究では、病院または介護施設に居住する認知症患者159人を2つのグループに分けた。

グループ1 (n=80) は、1日3食、各食事に0.26 gの塩を添加、グループ2 (n=79) は、同様に0.9 gのMSGを添加した食事を摂取した。

これらの添加物は、おかゆ、味噌または他のスープに添加するか、または主食に混ぜられた。ナトリウム摂取量は両群で等しく、試験は12週間の摂取期間とその後の4週間の追跡期間から構成された。

追跡調査期間中に、MSGを摂取した患者群は、食塩を摂取した患者群と比較して、認知能力検査全体で有意に良好なスコアを示したことが明らかになった (p<0.05) 。

さらに、グループ2はグループ1よりも単語認識 (p<0.05) と時刻認識テスト (p<0.01) で有意に高いスコアを示した。

栄養状態

同研究で、研究者らはMSGが患者の栄養状態も改善する可能性があると述べた。研究者らによれば、食欲不振は高齢患者における認知症進行の主要な危険因子と考えられている。

研究者は、うま味を味わう能力は年齢とともに減少し、食事を楽しむことができないこと、および全体的な食事摂取量が不足することの一因であると考えた。

本研究で、 MSGの添加は食物中のうま味を増加させ、認知症の高齢患者における食欲の増進と認知機能の向上をもたらした。

味の素は、これらは予備的な結果であり、MSGが認知症、認知能力、食事摂取量にプラスの影響を与えることを実証するにはさらなる研究が必要であると強調した。

同社はまた、ロイシンのような分岐鎖アミノ酸が高齢者の筋肉の構築にどのように役立つか、アスパラギン酸とグルタミン酸が認知機能の神経伝達物質としてどのように機能するのかについても研究を行っている。

医療機関と連携し、患者データを用いて食生活と認知機能低下の関連性を分析する予定。

 

出典:European Journal of Clinical Nutrition

https://doi.org/10.1038/s41430-018-0349-x

「L-グルタミン酸ナトリウム(うま味物質)が認知症の人の認知機能に及ぼす影響」

著者:Kouzuki M等

Related topics Japan

Follow us

Products

View more

Webinars

Nutra Champions Podcast

Nutra Champions Podcast