ホップの助け:キリンの熟成ホップ由来苦味酸は高齢者の認知健康の助けとなる-RCT

By Guan Yu Lim

- Last updated on GMT

ホップの助け:キリンの熟成ホップ由来苦味酸は高齢者の認知健康の助けとなる-RCT

Related tags Japan

キリンの熟成ホップ由来苦味酸(MHBA)を12週間補給することで、健康な高齢者の注意力が高まり、ストレスが軽減されることがわかった。

キリンの出資による研究は45 歳から 69 歳の認知機能低下の自覚症状(SCD)を有する健常中高齢 100 名に対し行われた。

研究者らは、Journal of Alzheimer's Disease​誌に発表した研究結果から、SCDを有するヒトへのMHBAによる早期介入が、認知機能改善に役立つ可能性があることが示唆されると述べている。

この現在の研究は、MHBAが60人の参加者の記憶想起を特に改善すると報告された最近の研究​に続いている。

以前、キリンはマウスモデルでMHBAの認知機能に関する研究も行っていた。

現在の研究

しかしながら、 SCDは自己報告であり、正式に診断されていないことを指摘しなければならない。SCDには、記憶障害、抑鬱、強い神経症傾向などの症状がある。

参加者は治療群 (MHBA) とプラセボ群に分けられた。

治療群には毎日35 mgのMHBAを含むカプセルを与え、プラセボカプセルは35 mgのデキストリンを含んでいた。

MHBAは、ビールの原料であるホップを加熱・酸化して製造する。これにはα酸及びβ酸の酸化剤である4'-ヒドロキシアロフムリノン、4'-ヒドロキシアロイソフムロン、トリシクロオキシイソフムロンA、フルポン類及びフムリノン類が含まれている。

介入試験は12週間にわたって実施されたが、推奨摂取時間の指示はされなかった。

研究員の一人であるキリン中央研究所のTakafumi Fukuda氏は「この臨床試験では、1日1回の服用に摂取するタイミングは決めていません。そのため、いつ飲んでも効果があると解釈できます。」と弊紙に語った。

その後、一連の試験を実施し、主要転帰として注意及び記憶スコアを評価した。

注意は、数字モダリティ検査(SDMT) 、 Rey聴覚言語学習試験 (RAVLT) を用いた記憶(形状記憶)及、Wechsler記憶尺度改訂版 (WMS‐R) を用いて評価した。

ストレスレベルを測定するために、ベースライン時 (0週目)と介入の12週目に唾液を採取し、コルチゾール、CgA、α‐アミラーゼ、β‐エンドルフィン濃度を分析した。

注意力改善

12週間の介入後、SDMTスコアは、プラセボ群と比較してMHBA群で有意に高いことが報告された(p=0.045)。

記憶評価では、治療群とプラセボ群の両方は、ベースラインスコアと比較して、12週でより高いスコアが観察され、有意差はなかった。

ストレスレベルの評価において、研究者らは β-エンドルフィン濃度がベースラインから12週目までの治療群では、プラセボ群よりも有意に低いことを見出した(p=0.043)。

β-エンドルフィンは心理的ストレスを評価するマーカーで、うつ病患者ではより高濃度で認められる。

研究者等は、MHBAが高齢者の注意力を高め、ストレスを減らすという発見は重要だと述べた。特にSCDを有する成人は、認知症予防に関して早期介入の重要な候補者となる。

「SCDを有するヒトへのMHBA補給による早期介入は、認知機能の改善に成功する可能性がある。」

MHBAの補給は脳機能の改善に有益であるが、所見を確認するには磁気共鳴機能画像法の研究が必要であると説明した。

研究者達は、研究にいくつかの限界があることを認めている。

「MHBA補給が比較的短い研究期間に起因する年齢関連認知低下を予防するかどうかを評価できなかった。補給が加齢関連変化に及ぼす影響を評価するためには、長期研究が必要である。加えて、迷走神経を介したMHBAの認知改善効果の基になる機構は、確認されていないため、機構を明らかにするための更なる研究が必要である。」

MHBAは、迷走神経を刺激し、動物モデルで認知機能と鬱を改善することが見出されている、イソ-α-酸と同様の化学構造を有する。

脂肪と認知

認知に対するMHBA効果の他に、体脂肪低減における効果についても研究されている。

昨年、MHBAを使用したノンアルコールビール風味飲料 「キリンからだFREE​」を発売した。1日1回12週間、この製品を摂取した場合の腹脂肪減少効果を臨床試験している。

現在の研究で、肥満は認知症の危険因子として知られており、MHBAは代謝機能を改善することによって認知症を予防する可能性があると説明している。

「今後の研究では、MHBAがエネルギー代謝と認知との関連に及ぼす影響を評価するための臨床試験を計画する」と記している。

キリンホールディングスのコーポレートコミュニケーション部門のAtaka Takashima氏によると、同社はMHBAの健康効果を中心とした研究を続けている。

 

出典:Journal of Alzheimer's Disease

DOI: 10.3233/JAD-200229

「熟成ホップ由来苦味酸の補給は、主観的な認知機能低下を伴う健康な高齢者の認知能力と気分状態を改善する」

著者:Fukuda, Takafumi等

Related topics Japan

Follow us

Products

View more

Webinars

Nutra Champions Podcast

Nutra Champions Podcast