ネスレが資金提供したRCT:ポリフェノール、オメガ‐3およびタンパク質補給は高齢日本人の可動性の助けとなる

By Guan Yu Lim

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ネスレが資金提供したRCT:ポリフェノール、オメガ‐3およびタンパク質補給は高齢日本人の可動性の助けとなる

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ネスレが資金提供した無作為化比較試験では、運動機能が制限されている日本人の高齢者を対象に、栄養の組み合わせと電気的筋刺激(EMS)による運動を12週間行うと、歩行速度が改善され、膝強度が向上することが明らかになった。

これは、EMS治療と組み合わせたポリフェノール、オメガ‐3脂肪酸およびホエイプロテインの影響を評価した最初の研究である。

研究者らは、ポリフェノールやオメガ3脂肪酸による抗酸化作用と抗炎症作用が、筋肉の機能を維持するタンパク質の役割と相まって、高齢者のサルコペニアの影響を軽減するのに役立つ可能性があると述べている。

ネスレリサーチ、ネスレヘルスサイエンス、京都大学の研究者は、研究成果をNutrients​誌に発表した。

研究デザイン

本RCTには、日本の60~90歳の37名が参加した。参加者全員が何らかの形態の可動制限があり、LTCIシステムにより、要支援1、要支援2、要介護1(LTC1)、要介護2(LTC2)のいずれかに分類されていた。

LTCIとは、65歳以上の人が保険でカバーする介護の内容を決める国の制度である。体力、栄養状態、口腔機能、社会性、記憶力、気分、生活習慣の7つのカテゴリーが対象となっている。

この研究では、参加者は無作為化され、栄養補助食品の内容が異なる3つの群に振り分けられた。

1群(n=12)には、炭水化物20gの飲料(マルトデキストリン グルコース シロップ)とプラセボカプセル(デキストリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド)が与えられた。

2群(n=15)には、分離ホエイタンパク(Prolacta)20gを含む飲料とプラセボカプセルが与えられた。

3群(n=10)には、分離ホエイタンパク20gを含む飲料とルチン(500mg/日)を含むハードカプセル、魚油由来のオメガ3脂肪酸/クルクミンを含むソフトカプセル(ソフィノール社製魚油タイプNAD 1.5g/日)が与えられた。

魚油は、エイコサペンタエン酸(EPA)18%、ドコサヘキサエン酸DHA7%、クルクミンは500mg/日となっている。

クルクミンおよびルチンは、Sankyo Ltd(東京)から供給された。

参加者は、飲料と7粒のカプセル(朝食時2粒、昼食時3粒、夕食時2粒)を毎日12週間摂取するように指示を受けた。

また、週2回のEMS治療を1回20分で12週間行った。この治療は電気的刺激で筋肉を収縮させるものである。

一次転帰は超音波検査を用いた大腿とふくらはぎの厚さの変化であった。二次転帰は歩行速度、膝伸展強度および栄養評価であった。

大腿部とふくらはぎの筋肉厚はベースライン、4週目、8週目、12週目に評価された。

膝伸展筋力と歩行速度に関する身体能力はベースラインと12週目に評価された。

筋肉圧増加

大腿部とふくらはぎの筋肉厚は、ベースラインから3%~5%の間で、全群で有意に増加していた。しかし、各群間に有意差は認められなかった。

研究者らは、この所見は筋肉の大きさの増大がEMS治療のみによるものである可能性を示唆していると述べている。この効果は筋蛋白質合成の刺激とEMS処理で観察された蛋白質分解の減少の結果であると考えられた。

EMSが高齢成人における加齢に関連した筋肉健康の損失に対処する有用な代替および効率的な解決策であることを示唆した。

身体機能

膝伸展強度については、プラセボ群と比較して3群で有意に高く、12週間後には13%の筋力改善が見られた(p=0.025)。

1群と2群では、5%から6%の改善が見られた。

6m歩行試験における歩行速度については、3群でベースラインから12週目までに8%の有意な増加が見られた(p=0.032)。1群と2群では、ベースラインから3%程度の変化で有意な増加は見られなかった。

タンパク質だけでは不十分

この研究では、ポリフェノール、オメガ3、タンパク質のサプリメントをEMSと組み合わせて摂取することで、12週間後に筋肉の膝伸展強度と歩行速度が向上した。おそらくポリフェノール、魚油、タンパク質の間のポジティブな相互作用が関係している可能性がある。

「作用の基礎となるメカニズムを解明する必要があるが、このような成分の組み合わせは、ミトコンドリア機能を阻害する可能性のある酸化ストレスを管理したり、同化抵抗性を逆転させたりするのに役立つ可能性がある」と研究者らは記している。

タンパク質補給はサルコペニアに対する既知の栄養的手法であるが、この研究では、2群はプラセボ群と比較して何ら効果を示さなかった。

研究者らは、「したがって、タンパク質単独では筋肉量と機能性に長期的に有益な効果もたらすには十分でないと推測できる」と指摘している。

研究者らは、サンプル数が少なく、各群の男女の分布が不均等であるなど、この研究にはいくつかの制限があった事を認識している。

研究者らは、これらの知見が、加齢に伴うサルコペニアの発生を制限する革新的な治療法を提供する可能性があると結論づけた。

 

出典:Nutrients

https://doi.org/10.3390/nu12061866

「電気的筋刺激を組み合わせたホエイプロテイン、オメガ3脂肪酸、ポリフェノールの補給は、可動性が制限された高齢者の筋力を増加させる。無作為化対照試験」

著者:Claire Boutry-Regard等

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