脳の老化:大豆イソフラボンは日本人高齢者の白質病変と認知機能低下を遅らせる可能性が有る

By Guan Yu Lim

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脳の老化:大豆イソフラボンは日本人高齢者の白質病変と認知機能低下を遅らせる可能性が有る

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大豆や大豆イソフラボンを多く含む食事は、白質病変の進行を遅らせ、それによって日本人高齢者の認知機能障害のリスクを低下させる可能性がある。

日本の研究者らは、腸内微生物叢で形質転換された大豆イソフラボン(ISF)の代謝物である血清エクオールレベルを調べた。その結果、血清エクオール濃度が高い被験者は、濃度が低い被験者に比べて白質病変(WML)が少ないことが判明した。

白質病変は、一般的に高齢者や痴呆患者の脳スキャンで観察される。

研究者らによると、本研究は白質病変とエクオール産生状態の関連性を調査した最初の研究であるという。

また、今回の知見がエクオールとWMLの関連性に関する今後のランダム化比較試験の基礎となりうると付け加えた。

この研究はAlzheimer's & Dementia: Translational Research & Clinical Interventions​誌に発表された。

研究デザイン

神経心理学的検査を用いて認知機能が正常であると評価した、日本の75歳から89歳の高齢者91人を対象とした。

対象者は国立循環器病センター (NCVC) における集団ベース前向きコホート研究、吹田研究の参加者であった。

参加者の数名は、高血、糖尿病および脂質異常症に罹患していたが、それ以外は健康であった。

WML容積は磁気共鳴イメージング (MRI) により評価した。

血清エクオールは、ISF(ダイゼイン、ゲニステイン)およびエクオールの空腹時レベルを決定するために、イメージング研究の6〜9年前およびイメージング研究時に採取された。

ダイゼインとゲニステインは、腸内細菌の存在下でエクオールを生成する大豆イソフラボン。

被験者は血清レベル0のエクオール非産生者、低エクオール産生者(約22.8μmol/L)及び高エクオール産生者(約166.1μmol/L)に分けられた。

脳の問題

被験者の約51%はエクオール産生者(高および低)で、残りの49%は非産生者(0μmol/L)であった。

高エクオール生産者のWML容積は非エクオール生産者と比較して50%以上小さかった。

WMLは認知機能低下および認知症の予測因子である

この研究における1つの限界は、ISFの血清 (血液) レベルが長期間ではなく過去数日間の食事摂取量を反映することであったが、研究者らは大豆とISFは日本人の食事の標準成分であると説明した。

別の限界は「WMLとの関連はエクオール自体ではなく、むしろエクオール産生状態に関連するいくつかの表現型によって媒介される可能性」である。

しかし、研究者らは、今回の発見が、地理的にも集団的にも将来のRCTに重要な意味を持つと述べている。

通常、食事に大豆を多く含む日本では、ISF摂取は、より高い認知スコアと軽度認知機能障害のより低い有病率に関連している。

しかし、米国では大豆摂取とISFは有意な認知的影響と関連していなかった。

研究者らは、日本と米国の差は、エクオール生産能力の差によるものかもしれないと述べた。

エクオールは全てのISFの中で最も生物活性が高く、日本人の約40から70%がダイゼインのようなISFをエクオールに変換できるのに対し、アメリカ人では20%から30%であった。

研究者らによると、エクオールは現在、RCTにおいて更年期症状、皮膚の老化、動脈硬化について試験されているが、WMLについては試験されていない。

そして、認知症のない高齢者に20 mg/日を24ヵ月以上補給するRCTデザインを推奨している。

 

出典:Alzheimer's & Dementia: Translational Research & Clinical Intervention​s誌

https://doi.org/10.1002/trc2.12089

「認知機能正常高齢日本人におけるエクオール産生状態と白質病変およびアミロイド-β沈着との関連」

著者:Akira Sekikawaら

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