タイジンセンを摂取した人の内臓脂肪面積は、試験終了時には85.17±1.86 cm2から81.62±2.35 cm2に減少した。
これに対し摂取しなかった人は、内臓脂肪面積が83.03±2.00 cm2から84.98±2.63 cm2に増加した。
RCTは、2019年7月から12月にかけて、過体重の日本人被験者80名を対象とした。
この研究は、健康食品、医薬品、化粧品用のハーブエキスを製造・販売している日本の企業、丸善製薬によって行われた。
新しい知見はこれまでの研究、タイジンセンエキスを摂取することで、肥満マウスの体重増加を抑制し、体脂肪の蓄積を抑え、耐糖能異常を緩和することができたことに基づいている。
東南アジアで栽培されているタイジンセン(Kaempferia parviflora Wall.Ex.Baker)は、一般的にはブラックジンジャーと呼ばれている。
様々な、ポリメトキシフラボンを含むフラボノイドを含み、血糖値を下げたり、血流を良くしたり、活力を高めたりする民間薬として伝統的に使用されている。
松下らおよび吉野らによる知見もまた、抽出物の補給が健康なヒトにおいてエネルギー消費および脂肪酸化を増加させ得ることを示し、この植物がエネルギー消費の増加を介して体脂肪を減少させ得ることを示唆している。
研究デザイン
80名の被験者は、介入群とプラセボ群に無作為に割り振られ、年齢は20歳から64歳、BMIは23 kg m−2以上30 kg m−2未満であった。
K. parvifloraから精製したポリメトキシフラボン6mgを含むカプセル2個、またはプラセボカプセルのいずれかを夕食時に摂取した。
その後、試験前、試験8週目、12週目に内臓脂肪面積を測定した。
本研究で使用した投与量(ポリメトキシフラボン1日12mg)は、同社の過去の研究で、介入群の内臓脂肪が4.3 cm2±6 cm2減少したという結果が出ている量である。
中心性肥満
内臓脂肪面積以外にも、皮下脂肪面積や総脂肪面積も、試験終了時には介入群で減少していた。ただし、内臓脂肪面積と総脂肪面積の減少のみ、プラセボとの有意差が認められた。
介入群では、総脂肪面積が8週目には320.31±9.74 cm2から306.94±10.59 cm2に、12週目には309.17±10.67 cm2に減少した。
プラセボ群の総脂肪面積は、試験前は316.47±11.18 cm2であったが、8週目には313.77±11.00 cm2、12週目には315.27±11.38 cm2となり、試験期間中は一定であった。
さらに、両グループ間でヒップ周りに有意な差が見られた。
介入群のヒップ周りは、ベースライン時の96.50±0.71 cmから12週目には96.58±0.8 0 cmに、プラセボ群では、ベースラインで96.34±0.79 cmだったのが、12週目には96.74±0.75 cmであった。
脈拍数
試験終了時には、2群間で脈拍数に有意な差が見られた。
介入群の脈拍数は、ベースライン時の67.8±1.5 bpmから12週目には65.4±1.4 bpmまで下がり、プラセボ群は、ベースライン時の脈拍数は68.7±1.5 bpmだったが、69.8±1.4とわずかに上昇した。
これは、2群間の有意な差であった。
「Kaempferia parviflora抽出物の摂取は、心拍変動解析で示されるように、ストレスレベルを低下させ、リラックスを促すことが報告されている。したがって、Kaempferia parvifloraから精製されたポリメトキシフラボンも、自律神経機能を調整することで脈拍を減少させたのではないかと推測している」と研究者は述べている。
一方、血圧測定については、両群間に有意な差は認められなかった。
「Kaempferia parvifloraから精製したポリメトキシフラボンを12週間継続して摂取することは安全であると考えられるが、その安全性を効果的に評価するためには、より長い摂取期間と高用量の研究が必要である」と研究者らは結論づけた。
出典:Food and Function誌
「Kaempferia parvifloraより精製したポリメトキシフラボンは日本人過体重者の内臓脂肪を減少させる:無作為化二重盲検プラセボ対照試験」
https://doi.org/10.1039/D0FO01217C
著者:Susumu Yoshinoら