特保の汚染:日本で粉体食品原料を守るための新しい方法を科学者が提案

By Guan Yu Lim

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特保の汚染:日本で粉体食品原料を守るための新しい方法を科学者が提案

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日本の特保(特定保健用食品)制度で使用されている粉末食品の汚染問題に対処するため、研究者らは新しい方法を提案している。

この方法で、アルゴン (Ar)と酸素 (O2​)の混合ガスを用いて、乾燥粉末食品の栄養価や官能特性に影響を与えることなく殺菌できる。

最近、特保市場に参入している企業が、海外から輸入した乾燥粉末食品原料に含まれる大量の生菌や大腸菌による食中毒を中心とした汚染問題に直面している。

従来、これらの企業では、生菌や大腸菌を殺菌するために熱風や蒸気を使用しているが、これでは栄養分や色、香り、風味に悪影響を与えてしまう。

本研究で、日本、タイ、マレーシアの研究者らが、アルゴンと酸素の混合プラズマガスを用いた大気圧非平衡DCパルス放電により、栄養価や官能特性に影響を与えることなく、桑の葉パウダーの細菌数を低減できることを実証した。

また、Journal of Food Quality​誌に掲載された調査結果によると、プラズマへの曝露時間が長いほど、また頻度が高いほど、除染効果が高いことが明らかになった。

新手法

今回の実験では、桑の葉の微粉末を乾燥粉末食品の原料として使用した。

桑の葉の粉末には、カロチン、カルシウム、ビタミンB1、鉄、タンパク質、ミネラル、食物繊維などが含まれており、一般的には血中コレステロール値を改善するために青汁などの栄養補助食品に使用されている。

実験に使用した桑の葉1.0g中の生菌数は3.6×105​(g/count)。

プラズマには、アルゴン(5.0L/min)と酸素(0.1〜1.0L/min)の混合ガスを使用した。

プラズマの発生にはDCパルスパワーを用い、プラズマジェット電極の放電には大気圧非平衡DCパルスを用いた。

実験では,50mLのビーカーに桑の葉の微粉末(20g)を入れ,ノズルの先端から15mmの距離に置いた。

プラズマの照射時間を1分,5分,10分とし,微粉末の全面にプラズマが照射されるように2分ごとに微粉末を撹拌した。

一般細菌と大腸菌の数を記録した。

示度数から、温度は30℃前後であることもわかり、この方法は低温処理である事が明らかになった。

除染効果

その結果,プラズマガスとしてアルゴンと酸素を併用し,パルス周波数10kHz,プラズマ出力100Wの条件で最も良好な結果が得られた。

この条件での一般細菌数は、プラズマ処理時間1分で1.8×105​(g)、10分で8.0×104​(g)となり、半数の細菌が死滅していることがわかった。

さらに高いDCパルス周波数5.0kHzでは、8.0×104​(g)と、1.0kHzの時のほぼ半分に減少し、殺菌効果が確認された。

研究者はそのメカニズムについて、「プラズマで放出された電子と酸素ガス由来の酸素ラジカルが空気中の蒸気と反応して酸素分子と水分子を切り離し、酸素原子を生成する。」

「これにより、強い酸化力と高い除菌効果を持つオゾン(O3​)やOHラジカルが生成され、桑の葉の微粉末に付着した一般細菌や大腸菌と反応して、除染・殺菌効果を発揮すると考えています。」

「また、プラズマの照射時間やパルス数を増やすことで、一般細菌数に対する除染処理能力がさらに向上することも明らかになりました。」

「本研究では、Ar+O2​混合プラズマガスを用いた大気圧非平衡DCパルス放電を用いて、乾燥粉末食品にプラズマを照射することで、一般細菌数に対する除染処理能力が向上することを確認。照射時間を10倍にすると、細菌数は50%に減少しました。」

 

出典:Journal of Food Quality

https://doi.org/10.1155/2021/8896716

「大気圧非平衡DCパルス放電プラズマジェットによる乾燥粉末食品の除染処理技術の開発」

著者:Toshifumi Yuji,ら

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