ハトムギの摂取で特定の免疫細胞が増加、皮膚感染症治療への手がかりに

By Guan Yu Lim

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ハトムギの摂取で特定の免疫細胞が増加、皮膚感染症治療への手がかりに

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ハトムギを摂取すると、健康な成人において「キラーT」や「ヘルパーT」といった特定の免疫細胞の量が増加することが示され、皮膚感染におけるメカニズムに手がかりを与えている。

また、健康な人の腸内細菌であるフィーカリバクテリウムの増加にもつながる。

日本では、イボなど皮膚のウイルス感染症の治療に使用されている。

しかし、その効果は決定的なものではなく、ハトムギ (ヨクイニン)が作用する特定の免疫指標はまだ特定されておらず、腸内細菌叢や皮膚感染症への影響も報告されていない。

順天堂大学の研究者が行ったこの試験では、健康な男性成人の血液と便を採取して、ハトムギ摂取が免疫マーカーと腸内細菌叢に及ぼす影響を調べた。

「今回の発見は、ハトムギがウイルス性皮膚感染症の自然消失を促進するメカニズムの手がかりとなる可能性がある」とし、生薬の開発に向けた基準を促進するとしている。

研究デザイン

Nutrients​誌に掲載された今回の研究には、20歳から64歳までの健康な成人男性19名が参加した。

被験者は、ハトムギ群(n=11)と対照群(n=8)に分けられ、最初の群は、調理したハトムギを毎日160g、1週間摂取した。

1日目と8日目に便と血液を採取し、腸内細菌叢と免疫細胞の量を分析した。

知見

1週間のハトムギ摂取により、キラーT細胞、ヘルパーT細胞、制御性T細胞、およびメモリーT細胞の比率が有意に増加した。

「これらの細胞は、ウイルスに感染した細胞の除去に関与しているので、これらの免疫細胞の活性化が、ハトムギ摂取の結果として報告されたウイルス感染症の退縮促進を説明できるかも知れない」と研究者らは説明している。

1週間のハトムギ摂取は,腸内のフィーカリバクテリウムの存在量を7.7%から10.9%に有意に増加させた。

対照群では有意な変化は観察されなかった。

研究者らは、フィーカリバクテリウムのレベルの低下が炎症、2型糖尿病の発症およびアトピー性皮膚炎と関連すると唆している。

研究限界

研究者らは、この研究の限界を認めている。「食事は、腸内細菌叢に直接影響を与えるが、介入期間中の食事をコントロールしたわけではないので、介入中の他のいくつかの食事要因が、得られた結果を混乱させた可能性がある。」

「コントロール食下で同じ試験を行うことで、ハトムギ摂取の効果をより明確に確認することができる。」"

「また、この研究は限られた人数の男性参加者を対象に行われたものなので、今後は女性を含むより多くの参加者を募って研究を行う必要がある。」

「ハトムギは、ウイルス性皮膚感染症の自然消失を促進することが示唆されている。伝統的な生薬の効果をそのメカニズムも含めて体系的に調べることで、その有効な利用が可能になり、新しい医薬品を開発するきっかけになるかもしれない」と研究者らは述べている。

 

出典:Nutrients

https://doi.org/10.3390/nu13114079

「健康な男性成人の腸内細菌叢と末梢性リンパ球サブセット・プロファイルに及ぼすハトムギ摂取の影響」

著者:Minami Jinnouchi,ら

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