日本初:Prolacta Bioscience社の人乳由来母乳強化剤が早産児を対象とした臨床試験で承認

By Guan Yu Lim

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日本初:Prolacta Bioscience社の人乳由来母乳強化剤が早産児を対象とした臨床試験で承認

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米国のProlacta Bioscience社(以下プロラクタ)は、人乳をベースにした栄養強化剤でよく知られており、日本で早産児の成長に対する製品の効果を評価する臨床試験を実施している。

日本では、食品医薬品局 (FDA) の規制を受けている米国とは異なり、プロラクタの人乳製品は医薬品とみなされる

「日本の規制当局は、医薬品の臨床試験を実施するために厳しい条件を設けていますが、当社の業界最高水準の品質と安全性が、同国の医薬品医療機器総合機構(PMDA)の規制要件を満たしていることを誇りに思います。これにより、プロラクタが主導するもう一つの業界初であるこの試験を実施し、日本で早産児に対する人乳ベースの栄養ケアを導入する機会を得ることができました」とプロラクタのScott Elster CEOは、NutraIngredients-Asia​誌に述べている。

本試験の結果は、同社の栄養強化剤が日本で医薬品として承認されるための法的考察とされる。

製品が承認されればプロラクタの製品は、早産児や重症児の治療において、牛乳ベースの栄養剤に代わる標準的治療となり、日本の病院で処方される栄養剤として入手できるようになる。

日本における早産児医療の現行基準は、母乳または低温殺菌のドナーミルクに牛乳ベースの強化剤または牛乳ベースの調製粉乳を加えたものだが、これらは早産児の重篤な合併症や摂食不耐性のリスクを高めることが知られている。

また、牛乳ベースの強化剤と人乳ベースの強化剤の最大の違いはその成分で、特にヒトミルクオリゴ糖(HMO)などのプレバイオティクスは人乳に特有の成分であることが知られている。

プロラクタでは、母乳や低温殺菌母乳に、プロラクタの100%人乳ベースの栄養強化剤を加えた完全母乳栄養(EHMD)を推奨しており、世界中の新生児集中治療施設で使用されている。

研究デザイン

この研究は2021年10月に開始され、昭和大学医学部の水野 克己医師が中心となり、臨床研究機関と共同で行っている。

これは無作為化比較試験で、日本国内の10施設に於いて150人の早産児を対象としている。早産児は出生体重が1,500g未満で、妊娠34週までプロラクタ製品または標準栄養プロトコル(コントロール)のいずれかを投与される。

本試験では、早産児や超低出生体重児を対象としたプロラクタ社の100%人乳ベースの3製品を評価する。6H2MFおよび8H2MFは、必須なカロリー、タンパク質、ミネラルを供給することで、適切な成長サポートに役立つ高濃度栄養を与える。

3つ目の製品は、CR母乳カロリー強化剤で、低カロリー母乳を与えられる新生児に最適な製品。この製品は、少なくとも2.6 kcal/mLを供給するよう処方されており、母乳やドナーミルクと併用し、脂質を増加させ、適切な成長を達成することを目的としている。

「この研究の目的は、介入群と対照群を比較して、平均体重速度が劣っていないことを示すことです」とElster氏は述べている。

本試験の主要評価項目は、出生から34週までの体重速度(g/kg/day)で測定される成長。また、安全性については、有害事象や早産児の併存疾患などの観点から評価される。

副次的評価項目としては、体長増加、頭囲増加、抗生物質投与日数、人工呼吸器使用日数、身体組成(脂肪量、除脂肪量)、その他関連する血中バイオマーカーなどが挙げられている。

治験責任医師の水野氏は、「プロラクタ社のEHMDは、早産児のためのゴールドスタンダード食であることが分かっています。この研究は、日本の超低出生体重児に、より高いレベルの栄養ケアを提供するために必要なものです」と述べている。

健康な赤ちゃん

プロラクタの製品は、20以上のピアレビューされた研究において、健康を改善し、早産児の最も深刻な合併症を軽減することが実証されている。

同社によると、2007年から2021年までの間に、世界中で7万人以上の早産児がプロラクタ社の栄養製品の恩恵を受けているとのこと。

「私たちは、世界中の早産児や重症の乳児に最高水準の治療を提供し、幅広い疾患にわたる治療可能性を探ることに注力しています。2022年の我々の焦点は、日本の臨床試験でできるだけ多くの患者を集めることです」とElster氏。

プロラクタの栄養剤は現在、日本では販売されていない。 「本試験の成功により、日本の早産児にプロラクタの人乳ベース栄養強化剤の実証された効果を提供できることを期待しています。」

本試験は2023年に完了する予定である。

世界初の医薬品グレードの人乳加工施設を運営し、ドナーミルクのスクリーニング、検査、加工を行っている。同社は、バット低温殺菌と米国FDAが審査した特許取得済みの製造プロセスを用いて、人乳由来製品の栄養的な生物活性を維持しながら病原体を確実に不活性化している。

プロラクタ社は、カリフォルニア州に本社を置く企業。

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