機能性スープ:日本の食品メーカー、栄養食品メーカーにとり次の大きなビジネスチャンスか?

By Gary Scattergood

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生姜や朝鮮人参、冬虫夏草といった野菜やハーブを用いた機能性スープの商品開発が日本で活発化しそうである。特に高齢者層を対象とした市場では高い収益性が見込まれる。

2016年までの3年間で新たに発売されたスープのうち、機能性を謳っているのは僅か4%で、日本ではその割合は1.4%とさらに低い。

ミンテル社のアナリストは、日本では機能性スープは最近の規制緩和を受け、新たなビジネス分野として非常に有望と言っている。

「日本は高齢者を対象とする飲食料品の新商品開発で世界をリードしているが、機能性食品の開発は特定保健用食品の登録制度のために遅れている。」とミンテル社のアナリスト、パトリシア・ジョンソン氏は言う。

「しかし、日本政府は2015年4月、保健機能食品の認可手続きを緩和化したため、機能性を謳う食品が生産しやすくなり、高齢者を対象とした市場としての日本の重要性はさらに増した。」

「届出制度改正により、機能性スープ、すなわち健康や活力、バイタリティーなどの維持向上をサポートする成分が用いられているスープの販売機会が拡大する。」

生姜や朝鮮人参、冬虫夏草など、多くのハーブやオルニチンなどのアミノ酸には、スタミナアップや、免疫力増強、活力アップ、血流改善、脳機能保持に役立つ成分が含まれるため、日本でよく売れるものと予想される。

「オルチニンは、主に日本でよく使われている機能性成分で、疲労回復に主に用いられている。その他、機能性飲料の原材料として使われているマカやモリンガなども、高齢者向け介護食に使う検討の余地がある。」とジョンソン氏は言う。

マーケティング戦略に関して言えば、体の機能や肌の衰え、記憶力低下などに関心を引くのではなく、活力アップ、元気ハツラツな状態に目を向けさせるのが好ましい。

同氏は「新商品開発とマーケティングでは、商品が高齢者層に利用しやすい物であることが今後とも重要である。例えば、製品の使い勝手の面では、開けやすく、使いやすい形態である必要があり、また地元(例えばコンビニ)での流通やインターネットを利用した注文・宅配など、商品の入手が容易である必要がある。」と言う。

「また、高齢者を対象とした介護食 メーカーは、孤独やモビリティの低下、栄養不良、病気といった生活上の課題を抱える高齢者を支援する企業として自社をアピールすることにより、企業の社会的責任(CSR)を推進する良い機会が得られる。高齢者問題は大きな社会問題となっており、高齢者をサポートする企業姿勢は幅広い年齢にアピールする。」と同氏は付け加えた。

市場拡大

ミンテル社のデータによると、スープ・介護食は全ての種類において順調に売上を伸ばしている。粉末タイプは2015年には前年度比2.7%伸び、缶やレトルト・タイプは4.4%の伸びを示した。後者では、常温保存用が3.9%、チルドタイプは5.9%増加した。

スープメーカーのトップ3社は味の素、永谷園、サッポロ・ホールディングズである。

しかし日本の大手メーカーは国内スープ市場で高齢者向けスープ・介護食の新商品開発に特に注力しているわけではない。そのため、他社が市場で地盤を築く余地が残されている。

「実際、2016年10月までの3年間で新たに開発されたスープ商品のうち、高齢者向けに開発されたのは2%にすぎない。」とジョンソン氏は語る。

「高齢者向けの商品開発 は、病弱な高齢者用にレトルトパウチの「やわらか食」を製造販売している明治ホールディングズがリードしている。同様に、マルハニチロ・フーズも咀嚼や飲み込みが困難になった高齢者を対象とした介護食を売り出した。これらの商品のレトルトパックは、医療用品のような外見ではなく、だれにでも訴求力のある高品質で美味しそうな料理の写真が使われている。」とのことだ。

スープと呼ぶには具が多いものも作っているので、「介護食」にしてあります。以下、必要に応じて同じ。

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