欧米型食事による日本の女性に高まる大腸ガンのリスク:コホート研究
これは日本と韓国の研究者が93,062人 (男性43,591人と女性49,471人) を対象に行った研究の主要な発見事項である。
1995年から1998年の期間と2012年末までの追跡調査で2,482例の大腸がん (CRC) が発見された。
1995年から1998年の期間は食事摂取頻度調査票を用いて、対象者を三つの異なる食事パターン群に分けて食事データを取得。
「堅実食型」は野菜、果物、麺類、イモ類、大豆加工食品、キノコと海藻を多く摂取する群。
「欧米食型」は肉、畜肉加工品、ウナギ、乳製品、ジュース、コーヒー、紅茶、ソース類とアルコールを大量に摂取する群。
「伝統食型」は漬物類、魚介類、鶏、と酒 (男性のみ)を多く摂取する群。
堅実型は男性においてはCRCのリスク低減と関連がある一方、欧米型は女性に結腸末端部のガンのリスクを高めることが分かった。
肉類
“欧米型は日本の女性にとって著しい結腸と結腸付近の腫瘍リスクを高める傾向にある”、
“大腸における発がんは一つには、欧米型食事の主要な構成品であるレッドミート (牛肉や羊肉) や加工肉の影響かもしれない。この点については、レッドミートや加工肉の摂取が大腸がんのリスクを上昇させると思われるヘム鉄の大量摂取と関連していることにある” とClinical Nutrition紙に発表された 。
日本の伝統食型では、全体的または特異部位のCRCリスクとは明らかな関連が見られなかった。
結論として、食事パターンはCRC の予防に大きな役割を担っているとした。
さらに、“堅実食は野菜、果物、麺類、イモ類、大豆加工食品、キノコと海藻を多くとることで、特に男性においてCRCと結腸ガンのリスクを減らすが、欧米食は肉、畜肉加工品、ウナギ、乳製品、ジュース、コーヒー、ソフトドリンク、紅茶、ソース類とアルコールを頻繁に摂取するので、女性に結腸末端部のガンのリスクを高める傾向がある。これらの結果により、食事パターンをもとにした食事法はCRCの予防に大きく関与している”と結んだ。
出典:Clinical Nutrition
https://doi.org/10.1016/j.clnu.2017.04.015
“Dietary patterns and colorectal cancer risk in middle-aged adults: A large population-based prospective cohort study”
(中高年における食事パターンと大腸がんのリスク:大型母集団をもとにした前向きコホート研究)
著者:Sangha Shin、他