プロバイオティック菌株は、代謝異常と戦うことによって肥満な前糖尿病患者に効用を与える可能性:ヤクルト

By Cheryl Tay

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プロバイオティック菌株は、代謝異常と戦うことによって肥満な前糖尿病患者に効用を与える可能性:ヤクルト
ヤクルトの研究によると、ラクトバチルス カゼイ シロタ株(LcS)が、血糖コントロールへの影響は限定されている可能性があるが、肥満の前糖尿病患者の一部の代謝異常を緩和することができることを見出した。

グルコース負荷後の高血糖および脂質代謝における代謝異常は、2型糖尿病および心疾患のリスクを増加させる肥満に関連する前糖尿病状態の典型である。これに基づき、ヤクルトの研究者は、肥満前糖尿病被験者100名(LMI群)の代謝異常に及ぼすLcSの影響を調査するRCTを実施した。各被験者は適度な負荷後高血糖および25以上のBMIを有する。

被験者は2つの群に分けられ、1群はプラセボミルク、他方はLcS発酵乳を8週間摂食して、空腹時血液マーカーおよび負荷後血漿グルコースの測定を受けた。

プロバイオティクスの長所

研究者はその後、2つの群の負荷後血漿グルコースレベル間に有意差はなかったが、LcS群におけるグリコアルブミン、糖化ヘモグロビンおよび1時間後の負荷後血漿グルコースのレベルは、8週間の摂食後に減少したことに留意し、「グリコアルブミン濃度の低下は、プラセボ群よりもLcS群で統計的に有意に大きかった」と付け加えた。

層別解析では、プラセボ群と比較して、LcS群で重度の耐糖不耐症を有する被験者等の1時間後の負荷後血漿グルコースとグリコアルブミン濃度を著しく改善したことが判明した。コレステロールについては、LcS群は、プラセボ群と比較して、総LDLコレステロール値および非HDLコレステロールレベルの著しい低下が見られた。

より大きく

しかし、研究者らは、2つの群の間で負荷後血漿グルコースに有意差がみられなかったので、負荷後高血糖に対するLcSのプラス効果を決定することができなかったと記した。 

さらに、LcSが炎症マーカー、腸内バリア機能および腸内微生物の組成にどのように影響するかを評価しなかったため、その正確な作用機序を決定することができなかった

それでも、LcS群のグリコアルブミン濃度がプラセボ群と比較して統計的に有意に減少し、層別解析の結果は、LcSが血糖コントロールに好影響を及ぼす可能性があることを示唆している。

「重度な耐糖能障害もしくはインスリン抵抗性を有するより多くの被験者において、血糖コントロールに対するLcSの有益な効果を明らかにするため、動物モデルもしくは臨床試験を用いてLcSの作用機序を明らかにするために、 更なる研究が必要である。

本研究の結果は、LcSが血糖コントロールへの影響は限定的かもしれないが、肥満の前糖尿病患者の代謝異常にポジティブな影響を及ぼす可能性があることを示唆している」と結んだ。

出典:Bioscience of Microbiota

https://doi.org/10.12938/bmfh.17-012

"Effect of Lactobacillus casei strain Shirota-fermented milk on metabolic abnormalities in obese prediabetic Japanese men: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial"

(日本人肥満男性の前糖尿病患者の代謝異常におけるラクトバチルス・カゼイ株シロタ発酵乳の効果:無作為化二重盲検プラセボ対照試験)

著者:Eiichiro Naito等

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